2008年10月12日日曜日

フィンランドと爆撃機

すごいドマイナーな話題。

ホーネットスレで知ったのだけど、フィンランド空軍がようやく対地攻撃能力を装備するみたい。

なんでそもそもフィンランドが対地攻撃能力を持っていないのか、
なんでその装備が問題になるのか‥‥
といえば今をさかのぼること60年前、継続戦争の講和条約であるところのパリ講和条約の条文に由来する。べべん。

フィンランドはソ連に宣戦することで第二次世界大戦に参加。ソ連との休戦は44年に成立しているけど、他の連合国20ヶ国との講和はこの1947年が正式なものになった。

このパリ条約では、あらためて戦後フィンランドの軍事力に対する制限が明確化されている。
第13条 陸海空軍及び要塞の保持は、国内的性格の地域的国境の防衛のための戦闘任務に限定される。前掲に従いフィンランドは以下を越えない範囲で国軍を構成する。  
(a) 陸軍は国境警備隊と対空砲兵も含めて3万4400名とする。  
(b) 海軍は人員4500名、総トン数1万トンとする。  
(c) 空軍はあらゆる航空機及び保管航空機を含めて60機とする。フィンランドは爆弾倉を装備する爆撃機を保有しない。
これは、保有する軍事力の大幅な削減となる。


というわけで講和の条件として軍備が制限されていたわけですよ。

ちなみにこの条約はいまでも有効なので、フィンランド国防軍は3軍合わせて3万人強しかいなかったりする。まあ徴兵制の国なので予備役兵100万人いるんだけど。
(でも保有機数は60機より多いはず。どこかで更新されたのかね?)

で、マルチロール機であったF/A-18も、フィンランドでの採用名は"A”を取っ払ったF-18。
わざわざ対地アビオニクスを取っ払った採用でした。
F-18は「爆弾倉」そのものは持たないにしても1947年当時の平均的な爆撃機並みの搭載量はあるわけで、条約の趣旨からすっとグレーなわけだったんです。

さてなぜ今になってフィンランドが爆装しなきゃならないかっていうと、やっぱりいわゆるフィンランド化の終了とEC参加が背景にある。
ECとの軍事協力を考えた場合、自国国有の防衛装備より、国際的に協調しうる普通の軍備へのシフトを始めたということなんだろう。

ただ気をつけなければいけないのは、フィンランドはNATO参加していないし将来的な参加も今のところ白紙ということ。そのへんこだわるよね北欧国。

参考:
戦後の欧州情勢の変化とフィンランドの中立政策の変貌[pdf]

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